イ・サン あらすじ10話 「武官の墓場」

 図画署から出たサン(セソン)は、パク・テスとソンヨンに、これからは度々会おうと約束して宮中に帰還した。テスは武官になってセソン様を守ると決意する。

 王様は「あの通達はまことにそちではないのだな」「鑑定の結果そなたの筆跡だと断定された。そなたの大叔父までも間違いなくそなただと言っておる」

大臣たちはセソンに責任をとらせ罰を与えてくれと口々に上奏する。

 「されど、どうも腑に落ちぬ」王様は続ける「セソンは一国の世継ぎである。そちたち重臣の言い分は少し度が過ぎぬか」

「セソンをなんと心得ておるのじゃ」「もしやセソンが王になれぬとでも思っているのか」と、ゆでたジャガイモを持ってこさせる。「世の悪人どもはこのイモで判を偽造するそうじゃ」見せよ。と、その場でゆでたジャガイモで偽造印を作る実演を披露させる王様。「このニセ印はひと月もすれば変色してくる」「よってセソンの結果はひと月後の玉印の結果を待ってとする」との裁断が下された。

 これはまずい。玉印を王様が調べ始めたことはファワン達には誤算だった。ファワンは老論派重臣チェ・ソクチュやチョン・フギョムを呼び「皆を招集させ、玉印の真否が明るみにでる前に対応策を練るように」命じた。

 サンの筆跡を模写させた画員チョンは図画署から移動させたが、それだけで安心出来ない。

玉印の朱肉の色が変色したらサンの疑いは晴れることになる。

 フギョムが次の対応策として、王様の弱みにつけ込む悪知恵を披露する。

「人は誰でも忘れがたい過去を持っているものだ」「王様には息子 思悼世子(サドセジャ)を処罰し亡くしてしまった」「あれは正しい判断だったか」「これも忘れがたい過去のひとつだ」

この事件を蒸し返して王と世孫の仲を裂こうとのプランであった。

 サンは部屋に一人の男が入ってきたのを見て驚く。

チェ・チェゴンが、目の前に立っていたのです。彼は父思悼世子(サドセジャ)の忠臣だった人で、セジャと連座の罪でこれまで流罪となっていた。サンはチェ・チェゴンを懐かしさいっぱいの顔で見つめた。

サンは「そなたを救えなかった事は残念だった」チェゴン「セソン王世子様の護衛隊長として王様から呼び返されました」「私こそ世孫様をお守りできず申し訳ありません。王様はセソン様の護衛部隊に信頼出来る人間をあてたいと、私を任ぜられたのです」

 しかし、サンは全く士気を失った武官の墓場と揶揄される護衛部隊の強化は、チェ・チェゴンでも難題であろうと感じた。なぜなら、敵 老論(ノロン)派の手先ばかりで、残りは給金目あてのサラリーマン部隊だったから。

 ほどなく武科試験が行われるのを前に護衛部隊の演習の日がきた。王様やサンや重臣達が壇上から中庭を見おろす中で行われた。兵士達は一斉に弓矢を放つが的になかなか命中しない。なかには弓を引く力も弱く矢が的まで届かない者までいた。これが今の護衛部隊の実力だった。あきれた王様は見切りをつけ席を立つ。サンに向かって

「これはそなたの責任だ。彼らの能力を引き出せない指導者としての恥だ」

サンは全て敵が悪いと他人のせいにしていた自分の考えが間違っていたことに気づく。

 サンは護衛部隊の強化訓練のため、一日100本の矢を射よと命じ次の日は200本射よと命じた。体力と気力の限界に来た護衛兵の一部は宿舎に放火して訓練を逃れようとした。そんな中

「そなた達が600本矢を射た間にセソン様は千本の矢を射られた」と言って去って行く男がいた。彼こそ後にセソンの頭脳となって活躍する塾長ホン・グギョンだった。

これを聞いたやる気のある兵は発奮して自ら率先して訓練に励むようになっていく。

 武科の試験日が決まり街に要旨が貼りだされた。テスは合格を目指して塾に入って勉強しようとする。塾長はホン・グギョンという両班のしょうゆ顔で、頭は良さそうな男である。どうしても合格したいテスは何か特別な裏の方法を教えてくれと頼む。塾長は試験の前日、問題を運び出す兵曹判書ハン・ジュノの執事の書類を奪え、そこに問題が書いてあると教える。テスは兵曹判書家の執事に春画で油断させ、書類を盗み見た。そこには「會髙千司」と書かれていただけだった。これが問題に出るのか?テスには分からなかった。

 イ・チョンは、図画署で今はやめた元画員で模写の名人チョ・スニョンが落とした紙を拾う。

 武科の試験の日。中庭いっぱいに受験者達がゴザの上に正座して開始を待っている。問題が発表され一斉に筆を取り答えを認めて行く。書き終わった者は答案用紙を係官の机まで持って行き提出、そして退場する。

 一人の男が書き終えて、答案用紙を出していそいそと去っていった後で、重臣達が騒ぎはじめた。係りの重臣が、この回答をした男を捕えようと大声で試験場を閉門せよと指示している。他の重臣達はその答案に困惑し、おろおろしている。

「何事だ。何が書かれているのだ」「早く見せぬか 何をしている」重臣達はおそるおそる王様に答案用紙を手渡した。

王様は静かに読み終え、黙ってサンに渡した。「読んでみよ 声を出して読み上げよ 王命じゃ」

その答案用紙に書かれていたのは、王様を誹謗中傷する内容だった。

コメントを残す

サブコンテンツ

最近のコメント

    このページの先頭へ